『物』に魂は宿らない。
生きているように見える芸術品も、
長年使われた道具も、
打ち捨てられた家電であっても。
生きていると感じたならば、
それは人間側の感性の問題だ。
素晴らしい芸術に触れた感動や、
職務を共にしてきた道具への愛着、
それらを捨てたことへの罪悪感。
物に魂が宿るというのは、
人間の勝手な願望でしかない。
それが、ここ数年までの常識だった。
時は202X年。日常は『魂を持った物』──
ツクモガミに蝕まれている。
ツクモガミは、
病を流行らせ、
事故を起こし、
時に実体を持つ怪異として、
人間たちの生きる社会を破壊せんとする。
常人の目に見えぬ人類の敵は、
静かにこの世を絞め殺そうとしていた。
しかし人類は、
ただ死を待つのみではない。
人知れず蠢く脅威に、
立ち向かう者が確かに、居る。
彼等は手にした端末と、
本来敵であるはずのツクモガミを武器に、
日常を蝕む化物達に挑む。
『2-KMO-XX所持者の──様!』
『2-KMOへのログインありがとうございます』
『本日のタスクは以下の通りと──』